2026年7月20日号

健康産業への視点

なぜ、人は運動を続けられないのか

●「何を避けるか」ではなく、「どう調和させるか」

皆さん、こんにちは。今も昔も「なぜ、あの人の●●は消えたのか?」的なタイトルの本はそれなりに売れるようです。こういった本は、自身の体験や、病気を克服した人たちへの取材、さまざまな考察等から、独自の主張を展開しています。その中でよく見かけるのは「欧米では禁止されているのに、日本では使用されている食品添加物や成分がある」という主張です。こういう話を聞くと、特に情報弱者は「日本の食品は危険なのではないか」と一直線に捉えてしまいます。しかし、国によって使用が認められている成分と、認められていない成分が異なることは珍しくありません。

 

当たり前ですが、各国の事情や考え方、文化等に応じた基準が設けられています。そこにロビー活動が介入することだって普通でしょう。なので、「海外で禁止されている」という言葉だけを切り取って、日本で認められている食品まで一律に危険視するのは極端な思想といえます。そもそも、日本で使用が認められている食品添加物等(絶対悪とされている)も、何の根拠もなく使われているわけではありません。安全性を評価し、使用できる食品や量を定めたうえで認可されています。私は基本的に日本の安全基準を信頼しています。使用が認められている食品や添加物を、必要以上に危険視する必要なはないし、それを「騙されている」なんて煽動するのは、それこそが危険だと思います。

 

だからといって、何をどれだけ食べてもよいということではありません。食品添加物や加工食品よりも、自然食品の方がからだに良いであろうことは誰にでもわかります。「美味しいこと」と「からだにいいこと」が違うことも誰にでもわかります。ここでの考え方のポイントは「添加物や加工品そのもの」よりも、「食生活全体の偏りや、食べる量のほうが健康に大きな影響を与える」ということにあります。健康づくりは、日々の小さな選択の積み重ねによって成されます。大切なのは「何を絶対に食べてはいけないか」ではなく、「どのような食生活を続けていくか」を考えることです。

 

●批判が批判を、不安が不安を増幅する

普通に考えれば、特定の食品を避けただけで、健康になれるわけがないということはわかるはずです。しかし、世の中の通常は普通に考えられない人が大多数なのです。そこで必要になってくるのが「情報を見極める力」です。今は健康に関する情報は、テレビや本だけでなく、SNSやネットニュース、動画等を通じて、誰でも簡単に手に入れられる時代になりました。しかし、そのすべてが「人を健康にすること」を第一の目的として発信されているわけではありません。

 

多くの情報発信には「ファンや信者を増やすこと」「再生回数やアクセス数を伸ばすこと」といった目的が含まれています。そこで「バランスの良い食事を心掛けましょう」「適度な運動を続けましょう」「十分な睡眠を取りましょう」といった普通の話をしても、目的は果たせません。そのため「これは絶対に食べてはいけない」「○○が病気の原因だ」「国は本当のことを隠している」といった、極端で断定的な表現が使われるようになります。

 

では、こうした極端な健康情報に強く反応するのは、どのような人たちでしょうか。私は現状に対して、何らかの不満や不安を抱えている人だと思います。こういう心理状態のとき、人は「原因はこれだったのか」「これが悪者だったのか」といった短絡的な答えを求めやすくなります。その結果、同じ考えを持つ人たちが集まり、お互いにその考えを支持し合うことで、批判が批判を増強していくことになります。このケースにおける批判は不安の裏返しですから、批判的な態度をとることで不安が増幅し、気がついたら「何を食べても危険」「これしか食べてはいけない」という状態に陥ってしまうのです。

 

一方で、日頃から「原則」を理解している人にとって、こうした疑似科学的な情報は単なる雑音にしか聞こえません。なぜなら「中庸こそが最高の徳であること」を知っているからです。極端に走らず、物事を多面的に捉え、自分の感情や不安を客観視する。これは健康に限った話ではなく、人として成熟していく過程そのものだと思います。「何を食べるか」「何を信じるか」という選択は、その人の生き方や価値観を映し出します。健康に対する考え方は、人間力と比例しているということです。だからこそ、トレーナーは人間力を磨く必要があるのです。では、以下の質問の答えをアウトプットしてから次ページへ進んでください。

 

問1:批判的、否定的な情報を目にした際、あなたは一度立ち止まって考えることができますか?

問2:あなたは健康づくりにおいて「何を避けるか」と「調和」のどちらを重視していますか?

問3:問1、2の回答に対する課題はありますか?あれば今後、具体的にどう解決していきますか?

 

世の中への視点

創業融資、女性向け41%増

【要約】

メモリー半導体の市場が転換期を迎えています。人工知能(AI)需要をけん引役として市場規模は1年でおよそ3倍に急拡大。好不況の波を繰り返してきたシリコンサイクルから脱して成長を続ける新段階に移行するとの期待が高まっているようです。

 

●「シリコンサイクル」から「スーパーサイクル」です

メモリー半導体市場は、生成AI需要を背景に大きな転換期を迎えています。従来はスマートフォンやパソコン向けが中心で、需要の増減に応じて3~5年周期で好況と不況を繰り返す「シリコンサイクル」が常態でした。しかし現在は、AI需要が急増し、供給が追いつかない異例の売り手市場となっています。複数年契約を求める顧客が相次いでいますが、希望数量を満たせないほど需給は逼迫しています。最大の変化は用途です。生成AIの学習や推論に使われるサーバーでは、GPUの性能を支える高性能DRAM「HBM」が大量に必要です。

 

さらに、AIの活用が学習から推論へ広がるにつれ、データを素早く取り出すSSD向けのNAND型フラッシュメモリー需要も伸びています。2026年にはDRAMとNANDの用途別シェアでサーバー向けが5割を超える見通しです。消費者向け機器に比べ、AIサーバー需要は景気変動の影響を受けにくい点も、市場の安定成長を期待させています。一方、供給面では増産が容易ではありません。HBMは複数のチップを積層するため製造難度が高く、設備投資をしても、すぐに良品を多く作れるようになるわけではありません。NANDもAI向け高速技術の量産に苦戦しており、供給制約が続いています。

 

その結果、販売価格が上昇し、メモリー市場は2026年に6333億ドル、約100兆円と前年比2.9倍に拡大する予測です。ただし、過去にも「スーパーサイクル」が期待された後、増産によって市況が悪化した例があります。専門家は、AIによって市場の谷が浅くなり、階段状に成長する可能性を認めつつも、過剰投資や需要減速への警戒を崩していません。今回が本当の構造転換なのか、従来の循環の延長なのかは、まだ見極めが必要のようです。

 

●私の視点~これまで自分の強みだと思っていた能力が、簡単に代用される~

株価も同様ですが、メモリー半導体市場の活況と、私たち市民の生活が豊かになることは、ほとんど連動していません。成長を支えているのは、スマートフォンや家電などの個人消費ではなく、生成AIを動かす巨大企業のデータセンター投資です。まず利益を得るのは、半導体メーカー、取引先企業、株主、高度な技術を持つ人材です。利益は配当や株価上昇、高い給与として、その周辺に集まりやすくなります。

 

一方、半導体産業と直接関係のない多くの会社では、すぐに売上や利益が増えるわけではありません。また、メモリー価格の上昇は、パソコンやスマートフォン、各種サービスの価格を押し上げる可能性さえあります。経済全体の数字は成長していても、実質的に使えるお金が減れば、暮らしが豊かになったとは感じられません。このように利益が一部に集中しやすい一方で、負担は広く社会全体に及ぶため、景気の数字と生活実感が一致しにくいのです。

 

こういった中、私たちはAIや半導体産業の成長を遠い世界の出来事として眺めるのではなく、自分の仕事や生活にどう取り入れるかを考える必要があります。AIが普及することの最大のポイントは、これまで自分の強みだと思っていた能力が、簡単に代用される可能性があることです。例えば、私自身、文章を書くことが生業だし、強みだと思ってきましたが、文章そのものを作るだけならAIでもできます。では、何が私の強みとして残るのでしょうか。そこを熟考しないと生き残っていけません。トレーナーも同じでしょう。知識やカウンセリングはもちろんのこと、いまやレッスンさえもAIに代替されています。

 

つまり、AIを学び、使いこなす努力を怠る人は、顧客に提供できる価値を自ら下げていることになるのです。AIを活用すれば、より質の高いサービスを提供できるにもかかわらず、それをしないのは、顧客に対する責任を果たしているとは言えません。それでも仕事が成り立つとすれば、顧客側もまた、より良いサービスを求めたり、違いを見極めたりしていないということです。厳しい言い方をすれば、レベルの低い仕事が、レベルの低い基準の中で許容されている状態です。これからの時代、AIを使うことは、スマホを使っていることのように当たり前になります。その前提に立って、AIを使ってどこまで顧客価値を高められるかが、プロとしての姿勢を分けると思います。では、以下の質問の答えをアウトプットしてから次ページへ進んでください。

 

問1:あなたが「自分の強み」だと思ってきたことは、AI時代にも本当に強みとして残るでしょうか?

問2:あなたの仕事の中で、AIに任せることによって格段に質が上がることは何でしょうか?

問3:問1、2の回答に対する課題はありますか?あれば今後、具体的にどう解決していきますか?

 

今週の一冊

 

・超鬼速PDCA

・冨田 和成(著) 

・クロスメディア・パブリッシング

 

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●詰めを甘くして、本当に人が育つのか

前著「鬼速マネジメント」は読んでいませんが、本書を読む限り、著者と私の考え方は非常に近いと感じました。私は、仕事力の根幹はマネジメントにあると思っています。マネジメントとは、目的・目標に対して、最速で結果を出す能力です。重要なのは高速であることです。高速とは作業が早いことではありません。課題を抽出し、解決策を考え、結論を出し、行動を決定・修正するまでのスピードが速いことです。その速度と精度を高め続けることこそが、ビジネス能力の高さといえます。著者はそれを「PDCAを回す力」と表現しています。その方が、具体的かもしれません。

 

いずれにせよ、結果が出ないということは、マネジメント力が弱いということです。仕事において結果を出すということは、目的と現状の差を埋めることに尽きます。そのためには、的確な課題を見つけ、正しい解決策を考え、決めた行動を実行しなければなりません。したがって、結果が出ない原因は、課題の抽出が甘いか、解決策が間違っているか、行動ができていないか、またはその組み合わせです。私が見てきた限り、結果が出ない人は、たいていすべてが甘い。課題の抽出が甘いから、解決策も甘くなり、当然、行動も甘くなります。2つは完璧なのに、1つだけが甘いということは起こりません。つまり、最初に的確な課題を発見できなければ、その先はないのです。

 

では、その力はどうすれば身につくのか。そのためには、膨大なマネジメント経験(PDCA経験)を重ねるしかありません。著者の会社は週2回のPDCA会議が行われ、ご本人も社会人になってから(御年44歳)毎日のPDCA(振り返り)を欠かしたことがないということです。私も同じです。日々の日記(振り返り)は40年くらい続けているし、ブログも2007年から毎日アップしています。今は会議等で直接的なマネジメントをする機会は少なくなりましたが、店舗の数字を預かっていた頃は、週次で「鬼のマネジメント」をしていました。私と仕事をした人ならわかると思いますが、最初は苦戦することはあっても、最終的に結果を出せなかったことはありません。それは、適切な頻度で課題を見直し、修正し、行動を続けてきたからです。

 

今、多くの人を見ていて「それでは結果は出ない」と感じることが多々あります。ただし、以前のように厳しく踏み込めば、相手を追い込みすぎるのではないか、パワハラと受け取られるのではないかという心配もあります。怒る、叱るという話ではありません。結果が出るまで徹底的に考えさせ、行動させることへのためらいがあるのです。感覚的には、全盛期の30%くらいしか詰めていませんが、それでも厳しいと感じる人がいる。この状態で本当に人が育つのかというジレンマがあります。

 

●リーダーの能力が問われるのは「P」と「A」である

私は、これまでPDCAという考え方に対して、いきなり「P=Plan」から始まるのはおかしいと考えてきました。目的やゴールが決まっていなければ、そもそも計画など立てられないからです。それに対し、著者が示す「P」の捉え方は、その中に「ゴールの設定」「課題の抽出」「解決策の決定」という3つが含まれており、これらが揃って初めて計画になるという考え方です。この定義であれば、私がこれまでマネジメントで重視してきたことと同じです。

 

また、著者は、PDCAの「A」を「Action」ではなく「Adjust」、つまり修正・調整と捉えています。これは非常に良い考え方だと思います。計画を立てて実行したとしても、最初からすべてが思いどおりに進むことなど、ほとんどありません。結果を確認し、現実に合わせて素早く修正することが、望む結果につながります。私はこれまでPDCAではなく「STPD(現状を見て、考えて、計画し、実行する)」という言い方をしてきましたが、多くの人に浸透しているPDCAを独自の言葉に置き換えるよりも、著者が言われるPとAの意味を明確に定義した上でPDCAと言ったほうが、理解されやすく、実践にもつながりやすいと考えが変わりました。

 

著者は、仕事の成果は「計画で50%が決まる」と述べています。私も同感です。むしろ、70%程度は計画(準備や戦略)で決まると考えています。とはいえ、優れた計画を立てても、そのとおりに進むことはありません。ここで前述の「修正」という作業が入ってきます。PDCAの各要素はすべて重要ですが、現場に求められるのは、決められたことを確実に実行する力(D)です。一方で、何を目指し、何を課題とし、どのように修正するのかを決める「P」と「A」には、リーダーの力量が問われます。だからこそ、結果の責任はリーダーにあるのです。

 

 

 

 

 

編集後記動画

当号のポイントを約3~5分の動画で振り返ります。

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編集責任者

・遠藤 一佳

【モットー】

・人生を常に再起動する

・自分の価値観に基づいた人生を生きる

・同志、仲間とともに、社会を良くする活動の一翼を担う存在になる

 【役職等】

・Well-preneur Academy(ウェルアカ)塾長

・(株)スモールジム取締役会長

・JATIキャリア支援委員